匂いにより、『集中』を引き出せるか 実験してみた。

パブロフの犬という言葉を聞いたことがあるだろうか?
これは学習条件付けにおける有名な実験だ。
実験内容を簡単に言うと、ベル⇨食欲
パブロフ先生は犬に、『毎回、餌をやる前にベルを鳴らす。』という教育を施した。
その結果、犬はベルを鳴らすだけで、例え餌がなくとも唾液が出るようになったのだ。
この実験は、犬でも音によって生理反応(食欲)が引き出された(=学習できた)という意味において有名になった事例だ。
集中できなくて困っているんだ僕は。
何かやり始める時に集中できなくなってしまって困ったことはないだろうか?
僕はしょっちゅうだ。読書を始めようとしても気が散って全然入り込めない。学生時代は勉強しようとしてもできなかった。
集中力、というよりも集中し始めることが一番困難。
そこで僕は思いついた。
僕が犬になれば良いんじゃないかと。
集中と何かを結びつけて、集中を強引に引き出せれば自分のやる気スイッチをコントロールできるのではないか。
僕はこう仮定し、実験を行うことにした。
では何を結びつけるか。
比較的何でも良さそうだが、僕は匂いに敏感なので匂い関係。
そして、臭いのは嫌なので良い匂いとした。
探していたところ、無印良品にちょうど良いのが売っていた。
原液でも匂いが嗅げる貴重なエッセンシャルオイル!しかもエッセンシャルオイルにしてはすごく安い!!!
何より海外のスポーツ選手はグレープフルーツの匂い嗅いで集中力を高める人が多いらしい。イチロー選手もその一人だ。
イチローになるべく僕はこのエッセンシャルオイルに決めた。
なお、香水ではなく、あえてエッセンシャルオイルにした理由は①匂いが強く、②小さいので持ち運びが便利、③香水と違って周囲にも迷惑をかけない から。
【匂い⇨集中】という学習が成り立つか。
〈実験内容〉被験者は自分。
1.学習前の集中力を測定* 下記テストにおける問題解答までの時間(秒)を評価基準として設定。
2.毎回、集中作業の前にエッセンシャルオイルの匂いを嗅ぐ。例えば読書や作業など。期間は1週間とした。
3.実験終了後に匂いを嗅いでない時と嗅いでいる時の集中度を測定。
3において、有意差が出れば実験成功だ。
*集中測定のため下記サイトを利用させてもらった。
こんな形で1から25まで順に押していくだけのゲーム。
この問題の解答時間を評価基準とした。
実験結果
ブレを考慮し3回実施したのだが少なかったので追加で3回行った。
(単位:秒)
パッと見た限り実験は成功のようだ!
パッと見た限り匂いありの条件下の方がかかる時間は圧倒的に少ない。
最初に比べると普通に上手くなってきたw
グラフで見るとこんな形
実験後、上手くなってしまい差が出にくかったので、3回セットを2セット追加した。
気分が乗ってきたので統計的証明してみた。
実験前後の変化はおそらく慣れによるものと考えられるため、
あんまり前後を比較しても意味なさそう。
そこで①嗅いでいないときと②匂いを嗅いだときにおける
対応のある2標本の片側t検定をすることにした。(有意水準は5%)
ツールはRを使用する。
まず外観はこんな
- 平均
匂いなし:30.0576秒
匂いあり:26.3885秒
- 標準偏差
匂いなし:11.39939秒
匂いあり:9.894101秒
どうやら結構差が出そうだ。
標準偏差も匂いありの方が小さいことから、おそらく安定して集中力を発揮できるのかな?
果たして統計的有意差はあるのか。
結論を言ってしまおう。
匂いにより集中を引き出すことは可能という結果が出せた。
p値, p-value = 0.03779<0.05なので統計的に有意差がありと決定できる。
なおt検定におけるp値とは、
2つのデータの平均同士を比較した際、この平均のズレがどれほどの確率で発生するものなのかを表したもの。一般的には0.05(5%)を境目に判断することが多い。
今回の実験でわかったこと
・匂いを使って集中状態の学習は行える。(匂い⇨集中の方程式は成り立つ。)
・特に集中初期段階における効果が大きいのではないかなと。
下記グラフを見てもらうと分かり易いのだが、集中までの導入に時間がかかっていないことが見て取れる。
今後のテーマ
・疲労下においても効果はあるか。
今後の集中がしやすくなった僕としては果てしなく嬉しい結果だ。
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下記、参考までに分析コードを載せておく。
>data=read.csv(“result.csv”,header=T,sep=”,”)
>attach(data)
>data
X first second third fourth fifth sixth seventh ninth tenth
1 before 47.974 32.780 53.516 NA NA NA NA NA NA
2 after without odor 46.188 28.752 32.482 37.318 35.609 25.683 33.252 28.839 30.453
3 after with odor 38.897 27.676 30.846 25.229 23.073 31.847 27.342 28.007 29.968
>before=data[1,]
X first second third fourth fifth sixth seventh ninth tenth
1 before 47.974 32.78 53.516 NA NA NA NA NA NA
>without=data[2,]
X first second third fourth fifth sixth seventh ninth tenth
2 after without odor 46.188 28.752 32.482 37.318 35.609 25.683 33.252 28.839 30.453
>with=data[3,]
X first second third fourth fifth sixth seventh ninth tenth
3 after with odor 38.897 27.676 30.846 25.229 23.073 31.847 27.342 28.007 29.968
>before_num=as.numeric(before)
>without_num=as.numeric(without)
>with_num=as.numeric(with)
> summary(without_num)
Min. 1st Qu. Median Mean 3rd Qu. Max.
2.00 28.77 31.47 30.06 35.02 46.19
> sd(without_num)
[1] 11.39939
> summary(with_num)
Min. 1st Qu. Median Mean 3rd Qu. Max.
1.00 25.76 27.84 26.39 30.63 38.90
> sd(with_num)
[1] 9.894101
>t.test(x=without_num,y=with_num,paired=T,alternative=”g”)
Paired t-test
data: without_num and with_num
t = 2.0079, df = 9, p-value = 0.03779
alternative hypothesis: true difference in means is greater than 0
95 percent confidence interval:
0.3194338 Inf
sample estimates:
mean of the differences
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