「書籍 心理」性犯罪の心理 僕は納得できない。

痴漢、強姦、サディズム、わいせつ、屍体性愛者、異常な性癖、犯罪者の心理、、
これらの言葉を見て、不思議な興味が出ないだろうか。
僕は正直なところ、知的好奇心が止められなかった。
何が起きたのか、彼らはどんなことをしたのか、何を求めたのか。ついつい気になってしまう。
阿部定事件など、有名な性犯罪はよくテレビでも取り上げられる。
多くの人は怖いもの見たさも相まって、詳しく知りたいというのが本音ではなかろうか。
今回、ご紹介するのはそんなセンシティブな内容に焦点を当てた書籍だ。
- 事例およびその診断、医学的側面からみると非常に詳細に記されている。
経歴に違わぬ非常に丁寧な解説だ。
判例なども豊富(多すぎるくらいで途中でいくつか読み飛ばした笑)
著者は精神科医として、また犯罪学者として非常に有名。
wikipediaで調べていただくとよく分かるが作田明賞という賞があるくらいだ。
そんな作田さんは過去に犯罪者の精神鑑定にも多数携わっており、その分析が生なましいほどに如実に描かれている。
どういう経緯で犯罪は起きたのか、その際の犯人の心情はどうか、収監されてからの犯人の状態、出所後など著者だからこそ語れる内容だろう。
私含め多くの人が想像する性犯罪者と実際に対面した人が感じる性犯罪者、そのギャップについても言及されており、知的好奇心を強く刺激する。
またこれは僕の完全に主観だが、過去を知れば百戦危うからずの通り、多様な事例を把握しておくことで、事前の対処ができる側面もあるだろう。
ここまでは良い点に焦点を当ててきた。
上述してきた内容は本当だ。
だが嘘を書いてもしょうがない。
- 正直私は好きになれなかった。
理由は2つある。
(1)著者のイデオロギーが強い。
豊富な経験が逆にある種のイデオロギーを強くしてしまっているように感じた。
本書に限らず、書籍には大抵著者のイデオロギーを広めるべく、意見が反映されるのは事実だ。
だが本書はそれがあまりに強すぎる。
まるで憲法9条は反対だ!原発は廃止だ!と声高に叫ぶように見えた。
僕にはこのような意見の押し付けを感じたため、あまり好きになれなかったのが一つ目の理由だ。
(2)先入観ともとれる根拠を前提とした論拠には無理を感じた。
例えば血液型占いでB型は自己中だとよく言われる。
もうこの扱いの酷さはじょせふつらたんと表現したい。
単独行動をすると必ず出る「出たよB型。」という決まり文句。
そして多勢に無勢かのごとく、A、AB、O型は猛攻を仕掛けてくる。ナチス時代の優生学にも等しいこの暴挙に対し、我々B型は宣戦布告をしたい。
我らの結束を今こそ!!!、、、、というほどに扱いの酷さからB型というのは妙にB型に仲間意識を持つ。
待ってくれ。B型の話は別にいいんだ。
僕が言いたいのは、先入観とも取れる根拠を前提とした論理展開が見受けられる点に違和感を感じたということだ。
例えばこんな論理がある。
『小児性愛者の犯罪は増加傾向にある。』
これに対する論拠を引用する。
この理由としては三つほどあげられる。
第一に、最近の成年男子の中に性格やさまざまな環境から異性との交流が少なくなり、恋愛や結婚ができない人がふえているという現象がある。このことが代償性の小児性愛者を多く作り出していることは否定できないだろう。
第二に、これとも関係があるが、最近の若い男性には精神的に未熟な人が多く、同年代の異性と交際するよりもはるかに幼い子どもを相手にするほうが簡単であり、精神的にもリラックスする傾向があるということである。このことは幼児連れ去り事件の頻発にも関係があるが、子どもたちがすぐに家に帰りたがったり、むずかしかったりして管理が難しいために、殺害に至るケースも少なくない。
第三に、….
出典 : 性犯罪の心理 (作田明 著2006河出書房)
第三の論理については実際に書籍を手にとって見ていただきたい。(ごめんなさい。長いので諦めました。)
これらを見てあなたはどう感じただろうか。
僕には偏見にしか見えず、同意できなかった。居酒屋でおっさんが「最近のゆとりはぁぁ!!俺たちが若いころは%&&Hsgre–==」と言っているのと同じ感覚だ。
- 本書の印象
事実を汲み取る本としては有用だが、書籍として著者の思考を知ったり、事象の見方に偏りがある。
心理と書いてあるが、犯罪者の心理考察についてはところどころ主観が混じり、いまいちピンとこない。とはいえ事実に基づいた論拠もあり、そこには同意できる。
本書は特に若い女性には自衛のため事例の一読を推奨したい。こういう本を毛嫌いする人も多いと思うが、安心してほしい。
本屋でこう言えば済む。
カバーはお付けしますか?との問いに、「はい。お願いします。」
これだけで安心して、外で読める。
しかし、僕個人としては全体的にうーーーんといった感じだった。
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