「書籍 小説」オレたちバブル入行組 落ち着くなぁ

有名なドラマ半沢直樹をご存知だろうか。
僕はあまりドラマを見ない。
毎週テレビの前でスタンばっていなければならないのが苦痛だ。そもそも一回でもテレビを見忘れたら続きわからんとか、拘束されすぎだ。
録画までするほど観たいわけでもない。
気になる時もある。そういう時は大抵huluなどでまとめてみる。
私も半沢はぼちぼち観ていた。
チラチラと流してみていた程度だが。
なんとなーーく内容を知っている程度だったので元となった小説オレたちバブル入行組(池井戸潤 2007)を読むことにした。
今回は感想をつらつらと書いていこうと思う。
ネタバレはなさそうです。
- 正義は勝ぁぁぁぁつ!!!
面白い。興味深い。ではない。
崇高な作品という感じでもないように思う。
しかし面白い。
なぜなら「痛快」なのである。仮面ライダーや獣レンジャー、おジャ魔女どれみ、などで培われた勧善懲悪の心。悪い奴は懲らしめるんだ!!!こいつは悪い奴だ!!!イケェェェェェェハンザワぁぁぁぁ!!!!と叫ぶようなもんだ。
この心を絶妙なまでに刺激するのが本作品。
しかも企業に属する会社員に正確にアジャストしている。
会社員、特に大きい会社は必ずと言って良いほど”社内政治”がある。
あいつはど〜だ、か〜だ。
あいつは昔の部下だから俺の言うことは聞く。
〇〇派などというのがどこからともなく聞こえて来る。
こんな鬱陶しい人間関係も含め、企業というものを描いている。
本作品は大きい組織に抗う姿とその雄姿を描写し、とにかく痛快さを最大化している点に面白さがある。
ヒーローものを見て育った人たちには是非一読してほしい。
- 企業の冷たさを描く
著者は元銀行員。
脚色はあるにせよ、やはり真実味のある怖さが散りばめられている。
例えばこんな一文がある。
バブルまでのメーンバンクは、困った時に助けてくれる銀行だった。だが、いまやそんな銀行はどこにもない。
出典:オレたちバブル入行組 池井戸潤 文藝春秋2007(第4章p185 より)
これは事実のようだ。
僕の父もデパートの店長をしており、銀行員とコンタクトが非常に多かった。
話を聞くと、銀行員の行動指針はリスクヘッジを最優先としており、危険そうに見えたらすぐ返済を求める逃げ腰な体制とのことだ。
他にも専門的な内部の組織がの説明もあり、やはり血なまぐさい銀行内の内紛も含め真実味のある話だ。
本書の良い点を完結にまとめると以上の2点だ。非常にシンプルな作りをしているので難解な小説や機智に富んだ小説を求める方にはあまり向かないかもしれない。
勧善懲悪の痛快さと血なまぐさい内紛を描く本作品、スッキリしたい社会人の方や会社というものの実態を知りたい就活生の方に是非一読いただきたいです。
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